弁護士トーク
2016年5月9日 月曜日

【教えて!弁護士さん】美容整形の失敗って訴えられるの?

“恋のお悩み”を解決するための連載企画(不定期)第4回は、ちょっとイレギュラーですが、女性をキレイにしてくれる『美容整形の失敗』がテーマ。「病院が治してくれるの?」「裁判をしたほうがいい?」など、いざというときの対処法を弁護士さんに聞いてきました。

このページは2016年5月9日に公開した記事です。クーポンが終了しているものもありますのでご了承ください。

落ち込む女

「キレイになりたい!」というのは世界中の女性共通の願いです。一度くらいは美容整形を考えたことがある人もいるんじゃないでしょうか。せっかく一大決心をして手術を受けたのに、失敗したら「ショック!」くらいじゃ済まされません。悩める女性たちを救うために、「レイ法律事務所」の弁護士さんに読者から届いた深刻な相談をぶつけてみました。

 

整形手術に失敗した30歳からの相談内容

「どうしても二重になりたくて、『切開法』で整形手術を受けました。でも、明らかに目の幅が希望より広くて不自然なんです。このままじゃ普通に生活することもできません。だけど手術してくれた病院は全然取り合ってくれないんです。調べてみたら、美容整形って裁判するのも難しいらしくて……。私はどうすればいいでしょうか?」(30歳・理沙さん)

 

「厚ぼったいまぶたがイヤ」「毎日長い時間をかけて、テープやのりで二重を作るのも疲れた」など、一重さんのお悩みは尽きません。理沙さんのように一念発起して手術を受けた方には、同じ女性として「よく決心した!」という尊敬の気持ちでいっぱいです。「美容整形」も「手術」のうちなので、失敗の可能性があるのは知っているけど、理沙さんに泣き寝入りはしてほしくありません! 連載第4回のお悩みに答えてくれるのは、レイ法律事務所の代表弁護士・佐藤大和さんです。美容整形の裁判って、そんなに難しいんでしょうか?

 

美容整形は保険のきかない『自由診療』

弁護士トーク

「正直言って、難しいですね。そもそも、医療裁判自体が医学的知識も必要であるため難しいのですが、なかでも美容整形は難しい分野だと言えます。それは、その他の病気と比べて、失敗かどうかの判断がしづらいからです。たとえば理沙さんは『明らかに二重の幅が広くて不自然』と言っていますが、それが不自然かどうかの判断は、どうしても主観的なものになってしまいます。つまり、個人の価値観によっては『不自然ではない』と判断される可能性もあります。もし明らかに不自然だとわかるような見た目だったとしても、証拠であるカルテは病院側が持っており、開示させるまで時間もかかり、手術前にどのような説明をしていたのか、またどのような手術内容であったのか、なかなかわかりづらいことも多く、そう簡単にはいきません」

 

た、たしかに……。実際に見たわけじゃないのでわかりませんが、理沙さんの言う失敗が“どれくらい失敗なのか”って、難しいところですね。さらに、「美容整形」といっても医療行為の一つなので、弁護士側にもある程度医学的な知識が求められるのだそうです。そのため、相談する弁護士さん選びも慎重にしなきゃいけないんですって。

 

美容整形に関する裁判に勝っても……

考え込む医者

医師と同じで、弁護士にも得意な分野と不得意な分野があります。たとえばレイ法律事務所はエンターテインメント業界や学校、男女等のトラブルには強いですが、医療過誤系のトラブルはあまり担当したことがありません。仮に弁護士歴が20年であっても、医療過誤系のトラブルを一度も担当したことがなければ、新人弁護士とあまり変わりません。最近では弁護士の数が増えているので、あまり知識がない分野の弁護を気安く引き受けてしまう弁護士もいると聞きます。相談をするにしても、医療過誤を得意とする弁護士事務所をきちんと探してください」

 

全く経験のない弁護士さんに弁護を引き受けてもらっても、いい結果はあまり期待できません。そうなると、手術は失敗される、弁護士費用は持って行かれる、修正手術も必要になる……と不幸のドミノ倒し状態に。さらに苦難の道は続きます。

 

「そもそも、美容整形は容姿を美しくすることを目的としています。そのため、病気に対しての『予防』や『治療』を目的とした医療行為とは区別されます。つまり、命に関わるものではないので、仮に良い弁護士さんが見つかり、裁判に勝つことができても、受け取れる損害賠償金はそこまで多くないでしょう。正直、弁護士費用のほうが高くなってしまうケースのほうが多いんじゃないでしょうか」

 

えーっ! 泣き寝入りも嫌だけど、せっかく時間とお金を使って裁判しても、お金がほとんど手元に残らないんじゃ意味がない……。じゃあ、理沙さんはどうすればいいんですか?

 

費用が安い『医療ADR(裁判外紛争解決手続)』

泣き寝入り

「私なら『修正できるレベルの失敗なら、弁護士費用を考えると、自費で修正したほうがいい』『もし直せないような失敗なら、医療過誤系を得意とする弁護士さんに相談してみてください』とアドバイスしますね。直せないレベルであれば、損害賠償金もある程度の金額になる可能性もありますし、信頼できる弁護士が見つかれば裁判をする価値もあるかと思います。『医療ADR(裁判外紛争解決手続)』という手もあります。これは、中立公正な第三者を入れ、当事者同士の話し合いをすすめて、訴訟によらないで紛争解決を目指す手続きです。通常の裁判と比べると、費用が安く、解決までの時間も短く、手続きなども比較的簡単だといえます。また、本当に悪質な美容整形外科なら、過去にも失敗があって、その医療訴訟や医療問題の弁護団が組まれていることもあります。それを自分で調べてからでも遅くはないと思います」

 

パニックになって闇雲に弁護士事務所に駆け込むのもダメ。最初から諦めて泣き寝入りするのもダメってことですね。心のダメージも大きいとは思いますが、気持ちを強く持ってください。一番いい解決の道が開けますように!

 

人気ドラマの法律監修・指導等も行う「レイ法律事務所」

レイ法律事務所

エンターテインメント分野を中心に、学校トラブル(退学・学校事故など)、男女トラブル(不倫・離婚など)、介護トラブル、債務整理、労働トラブル、刑事事件、企業法務など幅広い案件を取り扱う法律事務所。「一人でも多くの方を加害者にも被害者にもさせない」という信念のもと、法教育活動を事務所活動の柱とし、人気ドラマ『リーガルハイ』『緊急取調室』など多数のドラマ、また今春スタートする『グッドパートナー 無敵の弁護士』の法律監修・指導等もしている。代表弁護士佐藤大和著『ずるい暗記術』(ダイヤモンド社)は国内で4万5000部、韓国などのアジアでも人気書籍となっている。また、小説『二階堂弁護士は今日も仕事がない』(マイナビ出版)も人気書籍となっている。 http://rei-law.com/

 

カメラ/加藤ゆき(弁護士写真)

大高志帆
『non-no』から『President』まで、本当に何でも書くフリーのライター。好きなものはピンクとサンリオとワンピース。毎日1本映画を観て、週に一度は徹夜して、2年に一度は東京のどこかへ引越しする、いわゆる落ち着かない日々です。

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